GENDER EQUALITY男女共同参画

男女共同参画シリーズ 第1回「男女共同参画学協会連絡会」
2005.05.23

男女共同参画シリーズ 第1回>

「男女共同参画学協会連絡会」に正式加盟しました!
会長      鈴木和男(国立感染症研究所生物活性物質部)
連絡会担当委員 洲崎悦子(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)

朽津和幸(東京理科大学理工学部応用生物科学科)

日本バイオイメージング学会は、平成17年2月に男女共同参画学協会連絡会
http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/index.htmlに正式加盟しました。
社会的に「男女共同参画」についての意識が高まり、政府方針としても男女共同参画基本計画に基づいた取り組みが推進されるなかで、本学会がこの連絡会に加盟したことは大変意義のあることだと考えます。学会内で情報を共有し議論を重ねていくために、「バイオイメージング」の誌上や学会ホームページで「男女共同参画の動向」を会員の皆様にお知らせしていきたいと思いますので、ご意見をお寄せいただければ幸いです。
男女共同参画学協会連絡会への加盟の経緯について

学術会議登録の学会として「男女共同参画学協会連絡会」事務局からのお誘いが本学会にあり、理事会で協議し、参画する方向で検討いたしました。評議員全員に参画についてのメールをお送りし、特に異論がなかったので、本学会として正式に「男女共同参画学協会連絡会」加盟することにしました。担当として、洲崎悦子評議員と会員の朽津和幸博士に連絡会担当委員として登録することでご本人達の了解をいただきました。
男女共同参画学協会連絡会とは?

沿革

男女共同参画の実現が21世紀の日本社会の最重要課題と位置づけられ、平成11年6月に「男女共同参画社会基本法」が公布・施行され、平成12年12月には「男女共同参画基本計画」が閣議決定されました。その取り組みとして、内閣府男女共同参画推進本部主催による全国会議において、シンポジウム「科学の進捗と男女共同参画」が開催された他、日本学術会議においても平成12年6月第132会議において「女性科学者の環境改善の具体的措置について」の要望と「日本学術会議における男女共同参画の推進について」の声明が採択されました。

男女共同参画学協会連絡会の設立

こうした中、応用物理学会、日本化学会、日本物理学会などが中心となって理工学系学協会に呼びかけ、平成14年7月に男女共同参画学協会連絡会準備会を発足させ、同年10月に応用物理学会の小舘香椎子氏を初代委員長として男女共同参画学協会連絡会が設立されました。現在は第3期を迎え、日本化学会の相馬芳枝氏を委員長として会が運営されています。連絡会発足以前から各種取り組みを行ってきた学会、男女共同参画委員会を設置した学会、これから取り組みを検討する学会等、構成は様々ですが、「学協会間での連携協力を行いながら、科学技術の分野において、女性と男性が共に個性と能力を発揮できる環境づくりとネットワーク作りを行い、社会に貢献すること」を目的として、各省庁へも働きかけながら精力的に活動しています。

アピール

あらゆる人間が平等な機会を与えられ、それぞれの個性を生かして、性によらずそれぞれの能力を発揮することができる社会を実現することは、今世紀の人類にとっての重要課題である。20世紀初頭の量子力学に始まる現代科学の幕開けは、女性科学者マリー・キュリーによるポロニウム、ラジウムの発見という輝かしい業績に代表されるように、自然科学研究における男女共同参画の幕開けであったともいえよう。その後の科学技術の進展の中で、多くの新しい発想や様々な視点が技術に結実し実用化されてきている。ここでさらなる発展のためには、多様な価値観や豊かな感性が十分発揮される男女共同参画社会の実現が重要であることが認識され始めている。
女性の社会進出という全世界的動きの中にあって、我が国においても男女共同参画の実現に向けて、平成11年6月には「男女共同参画社会基本法」が施行され、平成12年12月には「男女共同参画基本計画」が閣議決定された。このような動きに呼応して、各界での取り組みが始められている。
われわれ学協会は、自然科学ならびに科学技術関連分野において、男女のバランスのとれた参画が今後の発展に極めて重要であることを認識し、それぞれの領域において学協会が男女共同参画に向けて行動を開始しつつある。この動きをさらに確実なものとするためには、個々の学協会が個別に行動するだけでなく、ともに情報を交換しながら手を携えていくことが極めて効果的であると考え、ここに集った。われわれは、男女共同参画社会の実現に向けて、ともに協力しあいながら行動してゆくことをここに宣言する。

平成14年10月7日
男女共同参画学協会連絡会

これまでの主な活動

連絡会は文部科学省生涯学習政策局から「科学技術系専門職の男女共同参画実態調査」に関する調査研究事業の委託を受け、39の学協会会員に対してアンケートを実施しました。このアンケート調査により全国約2万人から回答が寄せられ、その分析結果は、平成15年度文部科学省委託事業報告書「21世紀の多様化する科学技術研究者の理想像-男女共同参画推進のために-」として翌16年3月に発行されました(連絡会ホームページ参照)。また、このアンケート結果を元に同年10月「科学技術研究者に適した育児支援制度の整備に関する提言」、11月「研究助成への申請枠拡大に関する提言」という2つの重要な提言を行い、政府関係省庁や研究諸機関に送付もしくは説明を行っています。また日常的にも、各学協会の連絡会担当委員や関係者のアドレスが登録されているメーリングリストにおける活発な議論が進行中です。

提言の内容

「科学技術研究者に適した育児支援制度の整備に関する提言 -政府ならびに研究諸機関に対する提言」 http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/ikuji_shien.pdf 21世紀の創造的な研究開発を進め、社会全体の活力を高めるためには、多様な研究者の参画が必須であり、女性科学技術研究者の参加も大いに期待されています。そのために出産・育児を行いながら研究活動を行う科学技術研究者(男女を問わず)を支援する制度の整備が必要であります。男女共同参画学協会連絡会は、政府ならびに大学および研究機関に対して、積極的に育児を支援する以下の具体策を講じることを提言します。

1 育児をしながら、教育・研究活動を続ける女性ならびに男性の科学技術研究者を支援するため、育児休業取得などの環境作りを促進するとともに、一定枠の支援資金を配分すること。すなわち、科学技術研究者が育児と科学研究を両立させる ための支援活動費として、授業、研究活動等の支援要員の配置、保育関係費 (ベビーシッター等)の負担の軽減、ならびに在宅勤務の支援等を行うための資金を準備すること。
2 この育児支援に関しては、当該科学技術研究者が置かれた環境に適合する制度を自由に選択できるという柔軟な設計にすること。
3 科学技術研究者が、女性、男性を問わず共に育児を行って、家庭と仕事の両立を可能にするような啓発活動を一層進めると共に、社会全体に対しても、家庭と仕事との両立に対する理解を深める取り組みをすること。
「研究助成への申請枠拡大に関する提言 -研究費等助成機関への提言」
http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/kenkyu_jyosei.pdf

男女共同参画学協会連絡会は、政府および民間の科学研究費等助成機関に対して、以下の提言をいたします。

1 現在ある種々の研究費について可能な種目には、常勤職の有無に関係なくキャリア形成期にあるすべての研究者が応募できるようにすること。
2 常勤職に就いていない科学技術研究者の中から優れた研究を発掘するための新しい研究費を拡充すること。
3 種々の研究費や研究員等の選考時の審査員として、積極的に女性を登用すること。
4 研究提案の募集及び審査においては、男女共同参画推進に資する取組みを 奨励し、女性科学技術研究者の育成を目指しているプロジェクトを積極的に採択すること。

主催・共催シンポジウム

http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/symposium.htmlに掲載

(1) 電子情報通信  3.22(火)阪大 男女共同参画の現状と今後の展開
(2) 女性科学者の会 3.26(土)理研 女性研究者が活躍するための4条件
(3) 日本物理学会  3.27(日)東京理科大 男女共同参画に関するシンポジウム
(4) 応用物理学会  3.30(水) 埼玉大 本気でとりくむ男女共同参画
(5) 運営委員会   4.18(月) 日本化学会 会議室
(6) 第3回シンポジウム10.7(金) お茶ノ水女子大 産業界の女性科学者・技術者について
(7) 環太平洋国際化学会議 12.15-20 ホノルル、ハワイ Women Chemists: Past,Present and Future

など多数

関連出版物

(1) 日本物理学会会員アンケート分析報告-女性研究者編-

平成14年12月 日本物理学会

(2) 21世紀の多様化する科学技術研究者の理想像-男女共同参画推進のために-

平成16年3月 男女共同参画学協会連絡会

(3) 設立2周年記念シンポジウム資料集

平成16年10月 男女共同参画学協会連絡会

(4) 特集 どこまで進んだ男女共同参画

平成17年4月 学術の動向

担当委員より一言

私共の身近には本国にご主人や幼い子供を残して単身留学している中国、インドネシア、フィリピンの女性研究者がいますが、きっと特殊なケースではなく、皆さんの周りにもいらっしゃると思います。でも、日本ではそのように女性が留学することはなかなか難しいことのように感じています。自分の気持ちからそうしたくないと選択していると思っていても、そうあるべきだと考えを向けさせる社会的通念や働く環境の現状が潜んでいるのではないかと思うのです。社会の状況が変われば、自ずと個人の考え方も変わってきます。今はとても考えられないと思っていることが、いつかは当たり前になる時が来るかもしれません。よりよい男女共同参画のために、今、みんなで情報を共有し、一緒に考えていくことを始めることができればと思っています。斯く言いつつ、これまで余り真剣に考えたこともなく担当委員をお引き受けしてしまいました。特に若い会員の方々のご協力が得られますと幸いです。二人で協力して、連絡会の動向をお伝えして行ければと思っておりますので、皆様のご意見をお寄せください。

(連絡先: 洲崎etchan@hiroshima-u.ac.jp; 朽津 kuchitsu@rs.noda.tus.ac.jp )